「国のサイズと世界の安定」 池澤夏樹 (2011年11月) を読んで 腑に落ちたり疑問がわいたり
どうして日本はアメリカに振り回されているのだろう
「アフガニスタン戦争の原因と聞かれて即答できる人は少ないだろう。タリバンの政府がオサマ・ビンラディンの身柄を渡さなかったことである。それを理由にアメリカは戦争を始めた」
そうだったのか と驚く。確かにタリバンは過激なことをしすぎた、けれど一人のために周辺地域を巻き込んで十年も戦争(ほぼ一方的な攻撃)をし続ける? 大きくなっただけの子ども 極まれりだ、知ってもなかなか納得できない
「アメリカの人口は世界の五パーセント弱に過ぎないのに、アメリカのふるまいは今もって世界の動向を大きく左右する。我々は振り回されている。なぜならばアメリカが一つの国として大きすぎるから」
いま、何が強さ あるいは脅威なのだろう。戦時中の日本(産めよ増やせよ)を考えると人口は少なくとも1つの要素だったけれど
お金? でも、だれかが「お金と石油(小麦/お肉) もう交換しません」ってお金の価値を認めなくなったら紙切れになってしまう。ギリシャは実際そうなったし、イギリス国民がEUを抜けたいって分かっただけでガクンガクン変動する相対的なものでしかない。
核兵器?5つの許された国と3つの非加盟の国と北朝鮮が持っている武器
確かに それを向けられると自国民と自国の経済が死んでしまうからこわいけど、でも実際どうなの?それを使うだけの理由が この世にある??だれかが核戦争を始めない限り、ないと思う
なんでアメリカに振り回されているのだろう
「改めて世界を見れば、同じようなサイズの国々が並び立っている地域はそれなりに安定している。今、南米に極端な対立はない。ヨーロッパはEUでまずまずまとまっている。アフリカ諸国は痛めつけられた状態で安定してしまったと言うべきか。
極端に大きな国がなければ、国同士は互いになんとか折り合いをつけてやってゆくのではないだろうか。人間にはそれくらいの知恵はあるのではないか」
2016年現在、EUは波乱万丈で イギリス vs EUとなりつつあるけど、今まさにEUがイギリスに対して大国的な振る舞いをし始めているから 池澤さんの考察には説得力がある
(言語と地理って共同体においてもっとも大切な2要素で、それがイギリスと ドイツ フランスとでは全然違う。EUで統一されたルールではイギリスにしわ寄せがいきやすかったのだと思う。日本における沖縄のように)
「では北朝鮮をどう考えよう
これもまた大国の問題である。ソ連と中国が大きすぎたのだ。この六十年間、もしも大国が隣になければ北朝鮮は存続できず、ある時点で南北対立は終わっていたのではないだろうか」
本来終わっているべきなのに、存続しているから北朝鮮の国民もずっと圧政に苦しみ続けている
(ひとの幸せ 不幸せを決める権利はわたしには無いので言えないけれど、苦しんでいることは事実と思う)
「この先、凋落するアメリカは必死で勢力維持を試みるだろう。そのどたばたに世界中が巻き込まれるだろう。その隙を突いて中国は台頭しようとするだろう。どちらも日本に近いのは不運なことである。中国は地理的に近く、アメリカは心理的に近い。
理想を言えば、両国がソ連のように分解してEU並みの緩い連盟になってくれるといいのだ
(中略)
実際には、アメリカを小さくする魔法、中国に野望を捨てさせる魔法は存在しない。この先十年も世界は大国に振り回されることになりそうだ」
これを5年近く前に書いている池澤さんを本当に尊敬する。歴史も情勢も識っている
まさに、アメリカではトランプ (ザ・アメリカン。大量消費で王様気取りで肥満思考)がフィーバーし、中国はロシアと組んでアメリカに余計な茶々を入れている。そして両方が日本の外交と経済政策を右往左往させている
アメリカと中国は確かに大きいけれど、だれかが「もう やめようぜ」って言ったら みんなスネ夫的な振る舞いをやめて自立するんじゃないかしら。世界中が疲弊してる
いじめっこが怖くて いじめに加勢しちゃった子も (はじめは興奮を楽しいと錯覚するかもしれないけど) 途中から罪悪感と自己嫌悪に苛まれて抜けたくなるでしょう
日本も 報復がこわいとか 次のターゲットになるのがこわいとか言ってないで、早く潔く抜けて、いじめに加勢したことを反省するべきだと思うけれどね
一国家 (ひとりの人間が集まって成り立っているもの) として