試行錯誤

いろいろ試して、その結果を振り返ります

本質について/ミース・ファン・デル・ローエ

この世で最も美しいと思うのは、レイクショア アパートメントという建物です

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わたしはミース・ファン・デル・ローエというひとの建築哲学を愛している
 
モノを持ちたくないのも、本当に大切なものを自覚したいのも、そのひとの影響


LESS IS MORE
God is in the details
彼のつくった全ての建築物から一貫して感じられる。建築物たちは似ているわけではなく、用途や国に合わせた引き算とこだわりがある。無駄がないのに、豊かで美しい


「形はわれわれの目的ではなく結果として出てくるものである。形それ自身単独では存在しない。形が目的であるということは形式主義である。」
(1923 建築と形に警告  より)


「建築とはその時代の要求を空間に翻訳することである。」
「建築の本質を疑問視することは決定的に重要なことである。」
(1924 建築とその時代  より)



すべてのことに当てはまると思う。物事の本質を捉えることは難しいけれど、本質に近いところに課題を見つけることができたら、その解決はより広い範囲に影響する。
形式主義というのは、応用が効かない


仕事の違いは、要求を何に翻訳するかの違いと言える
たとえば医療は、時代の要求を生物の身体に翻訳すること。建築も医療も教育も音楽も実現したい世界のイメージは同じだと思う。そのための個別的にクリアするべき、分業体制としての仕事


でも、応えるべき要求を見誤ったらすべてが歪む

たとえば仕事人としてのわたしの存在理由は「よりよい生活のために身体の調子を変えることを望むひと」。お仕事内容は「お医者さんとお話をすること」
お医者さんにも、患者さんにも、とことん派 とまあまあ派がいて、命を延ばすことが必ずしも正解(応えるべき要求)ではない。

患者さんの家族の気持ちも難しい (たとえば、 これ以上苦しんで欲しくないと思う反面、少しでも長く温かい体温を保って息をしていて欲しいとも思う)


現実主義と機能主義の結びついたミース・ファン・デル・ローエの建築物は、ほんとうはいちばん優しくて、独りよがりではない正しさを持っている気がする


そういう職業人になりたい